中山先生が、台湾の中山医科大学を訪問しました!🛫
研究について、そして臨床技術学科との国際交流について
議論をされたとのことで、内容について中山先生にお話を伺いました🎓
(写真は中山先生と中山医科大学の張耀仁先生)
Q1.今回の訪問の目的は何ですか?
今年3月に初めて,台中市にある中山医学大学を訪問しました。その際,中山医学大学や大学病院の先生方から,研究や研究指導について議論させて頂くお時間を頂きました。その時,特に強く印象に残ったのが,今回,訪問しました張耀仁先生の毒藥物質分析室でした。今回の訪問の目的は,次の3つでした。① 張先生が開発された毛髪中の化学物質(具体的には,覚醒剤,コカイン,大麻などの違法薬物など)の分析法を習得すること,② 張先生との信頼関係を構築して国際共同研究を加速化すること,③ 臨床技術学科の国際交流について,中山医学大学から具体的なプログラム内容についてご提案頂き,その内容について議論し,具体的なプログラムとすること。
Q2.何故,毛髪中の違法薬物を測定する必要があるのですか?
毛髪中は,ヒトの化学物質摂取を検出可能な濃度且つ高い信頼度で記録することが知られています。我々の髪の毛一本一本がUSBメモリーの様に化学物質の動態が保存されます。毛髪のユニークな性質を利用して,犯罪捜査などに活用されています(写真)。
現在,日本では大学の体育系部員の薬物汚染について,毎日のように報道がなされています。台湾でも,家庭内暴力やドメスティックバイオレンス(DV)の増加に伴い,子供達に薬物汚染が広まっているそうです。特に今年は,幼稚園児のお昼寝の時間に寝付けを良くするためという理由で,保育士が鎮静剤や睡眠導入剤を使用していたとの疑いが発覚し,大きな社会問題になっていると伺いました。この様な事件の時には,毛髪中の薬物分析が,大変重要な証拠として役立っています。
Q3.毛髪はどこから送られて来ますか?
台湾では,警察署,検察,裁判所,保健所,病院,各自治体の家庭内暴力及び性侵害防止センター,更には弁護士などから宅配便で毎日のように届いているそうです。中山医学大学病院 毒藥物質分析室では,1年間におよそ500検体の受付が行われ,分析が実施されています(写真)。
Q4.何故,臨床技術が毛髪中の違法薬物分析と関係するのでしょうか?
臨床技術の一つとしての臨床検査というと,多くの方が病院検査室で働く技師をイメージしてしまいますが,高度な技術が必要な特殊分析検査,具体的には,高速液体クロマトグラフィー(高速HPLC)分析法,各種遺伝子検査,次世代シークエンス解析,質量分析なども臨床検査技師が担う重要な仕事と考えられています。中山医学大学病院 毒藥物質分析室 でも若い(24歳から30歳前半迄の)検査技師が多く勤務(写真)し,皆がガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC-MS)や液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS)を操作しながら,解析を担当しています。
Q5.中山医学大学では,どのような国家試験対策が取られていますか?
中山医学大学臨床技術学科の臨床検査技師国家試験の合格率は,例年50%程度とのことです。これは台湾全土の合格率30%台と比較すると圧倒的な合格率です。そのため,国家試験対策は実施していないと聞きました。また,一時期から比べると進学率は下がりましたが,大学院の修士課程や博士課程に進学する学生も少なくなく,大学院における専門教育は充実しており,高度な分析技術が習得出来ると,大学院生が語っていました。
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臨床検査技師・臨床工学技士も国際的な視点や考え方を持つことで、活躍の幅が広がります。
今後、中山医科大学との学生交換交流など、様々なプログラムで学びを深められたら、と思います!